面接でデメリットは伝えるべきか|ミスマッチを防ぐ情報開示のコツと具体例

「給与水準は決して高くない」
「繁忙期は残業が多い」
「若手よりベテラン社員が多く、新しい提案がすぐには通りにくい」
どんな会社にも、こうした会社のデメリットやちょっと言いづらい部分があると思います。
そして多くの採用担当者の声として、よく耳にするのがこの悩みです。
「こういう話って、面接でどこまで正直に言っていいんだろう?」
こうした不安はよく分かります。
特に応募が多くない中小企業にとっては、
せっかく面接まで進んだ求職者が、デメリットを伝えたことで辞退してしまうのではないか——。
そう考えると、デリケートな情報を面接で伝えることに慎重になってしまうのも当然です。
しかし、結論から言うと、
採用ミスマッチを防ぐには、デメリットも含めた情報開示を企業側から先に行うことが最も効果的です。
- 1. 「内定辞退」よりも怖いのは、採用後のミスマッチ
- 2. 求職者が本当に気にしている10のポイント
- 3. ネットにあふれる“面接での逆質問”はほとんど「評価狙い」
- 4. 企業側から先にデリケート情報を開示する
- 5. 面接で会社のデメリットを伝える具体的な方法
- 5.1. 「事実」+「理由」+「フォロー」をセットで話す
- 5.2. 選考の“後半”ではなく“前半”で伝える
- 5.3. 「聞いていいんですよ」とこちらから言葉にする
- 5.4. 面接官ごとのバラつきをなくす“説明テンプレ”をつくる
- 6. 会社側が準備しておきたい「情報開示のひな形」
- 6.1. 【説明する順番の例】
- 6.2. 【伝え方のフォーマット】
- 7. 面接フローの整備と情報開示の仕組みづくりに不安がある企業へ
「内定辞退」よりも怖いのは、採用後のミスマッチ
デメリットを隠して採用した場合に起きること、それは採用後のミスマッチです。
具体的には、例えば以下のようなことが起こります。
- 入社して3ヶ月で辞めてしまう
→ ミスマッチが原因で、本人が仕事内容や職場環境に合わず早期退職する。
- 現場のマネージャーの負担が増える
→ 社員が業務に慣れなかったりやり方が合わなかったりするため、通常業務に加えて教育やサポートに多くの時間を割く必要がある。
- 戦力になるまでに時間がかかる
→ 期待していた成果を出せず、現場全体の効率やプロジェクトの進行に影響が出る。
これにより、採用コスト・教育コスト・現場の負担はどんどん積み上がっていきます。こうした負担は、一度発生すると簡単には解消されません。
比較すると、内定辞退による影響は対応可能で比較的小さいのに対し、採用後のミスマッチは組織全体に大きな負担をもたらし、会社の運営やチームの働きやすさに深刻な影響を与えることがあります。
だからこそ、
本当に恐れるべきは「内定辞退」そのものではなく、採用後のミスマッチなのです。
では、なぜミスマッチが起きてしまうのか?
それは多くの企業で求職者が面接で本当に知りたいことを聞けない構造になっているからです。
では、求職者が本当に知りたいこととは何でしょうか?
求職者が本当に気にしている10のポイント
実際に、求職者の声や検索キーワードを見ていくと、
気にされている項目はかなり共通しています。
求職者が本音で気にしている10選
- 実際の平均残業時間(時期による波も含めて)
- 残業代はどこまで支給されるのか
- 昇給・昇格のスピードと実績
- 評価制度が形式だけでなく運用されているか
- 上司やチームの雰囲気、人間関係
- ハラスメントが起きたときの会社の対応スタンス
- 若手の意見がどれくらい通るのか
- ベテラン社員の価値観・考え方
- 休みの取りやすさ・有給の消化状況
- 入社後1年目の具体的な仕事イメージと負荷感
これらは、会社側からすると「できれば深く触れたくない」テーマかもしれません。
ですが、求職者にとってはここが分からないと、
「この環境でやっていけるかどうか」が判断できないのです。
ではこの10のポイントを求職者は実際に面接で質問しているのでしょうか?
ネットにあふれる“面接での逆質問”はほとんど「評価狙い」
一方で、「面接 質問 例」などでネット検索すると、
次のような質問例が多く出てきます。
- 「御社で活躍されている社員の共通点を教えてください」
- 「今後の事業展開の方向性について伺いたいです」
- 「入社後、どのようなキャリアステップが考えられますか?」
- 「若手のうちから挑戦できる環境はありますか?」
- 「1日の業務の流れを教えていただけますか?」
もちろん、これらが悪いわけではありません。
ただ、ここには 本音で気にしているデリケートな部分はほとんど含まれていない のです。
つまり、
- 本音で気になること
→ 働き方・条件・人間関係などのリアル
- 面接で聞く質問
→ 評価されそうな“きれいな質問”
というギャップが生まれてしまっています。
さらに、面接の構造そのものが本音を聞きづらい仕組みになっています。
- 面接の大半は企業側の質問に使われる
- 求職者の質問時間は5〜10分
- カジュアル面談も実質説明会になりがち
- 面接は「評価される場」というプレッシャー
これでは、聞きづらい質問は出てきません。
求職者が”聞かない”のではなく、”聞けない”のです。
企業側から先にデリケート情報を開示する
ここまでの流れを整理すると、
- 求職者はデリケートな情報ほど知りたい
- 面接の仕組み上、聞く時間も心理的余裕もない
- 結果、入社後のギャップにつながる
したがって、ミスマッチを減らすための最も効果的な方法は、
企業側から先に、デメリットも含めて情報開示することです。
ここからは、具体的な“言い方”と“タイミング”を紹介します。
面接で会社のデメリットを伝える具体的な方法

では、どうやってデメリットを伝えればいいのか。
ここからは具体的なやり方です。
「事実」+「理由」+「フォロー」をセットで話す
ただ「残業が多いです」とだけ言うと、
当然ネガティブに受け取られます。
例として、こんな伝え方があります。
「3〜5月の繁忙期は残業が増えます。
ただ、その分6〜8月は定時退社の日が多く、年間の平均残業時間は◯時間ほどです。
忙しい時期と落ち着く時期がハッキリ分かれているイメージです。」
このように、
- 事実
- なぜそうなっているのか(理由・背景)
- その中で会社として工夫している点や、見通し
までセットで話すと、「正確な情報」として受け取ってもらいやすくなります。
選考の“後半”ではなく“前半”で伝える
デメリットを伝えるタイミングも重要です。
最終面接や内定後のタイミングで初めて聞くと、
求職者は「もっと早く知りたかった」と感じます。
おすすめは、
- 会社説明
- 一次面接
- カジュアル面談
といった“早い段階”で、
働き方のリアルや大変なポイントを先に話してしまうことです。
そこで納得してくれた人は、その後の選考にも前向きに参加してくれます。
「聞いていいんですよ」とこちらから言葉にする
デリケートな質問をしてほしければ、
こちらから”許可”を出すことが大切です。
例えば、こんな一言を添えてみてください。
- 「働き方や評価のことなど、気になることは遠慮なく聞いてください」
- 「条件の話も含めて、ギャップがないようにお伝えしたいと思っています」
- 「少し聞きづらいかな、と思う内容でも大丈夫です」
たったこれだけで、求職者の質問は明らかに変わります。
面接官ごとのバラつきをなくす“説明テンプレ”をつくる
多くの会社で起きているのが、
- 面接官Aはかなり正直に話す
- 面接官Bは慎重すぎてあまり言わない
という属人化です。
これを防ぐために、
- 必ず説明する項目のリスト
- 話す順番
- 使っていい表現のサンプル
をテンプレート化しておくと、誰が面接しても同じ温度感で説明できる状態に近づきます。
会社側が準備しておきたい「情報開示のひな形」
最後に、実際に説明するときに便利なひな形を簡単にまとめておきます。
【説明する順番の例】
- 仕事内容・役割イメージ
- 組織体制(ベテラン・若手の比率など)
- 働き方(勤務時間・残業・休日)
- 給与・賞与・昇給・評価制度の考え方
- 大変な点・乗り越えるポイント
- フォロー体制・成長の機会
- 質疑応答(ここで「何でも聞いてください」と一言添える)
【伝え方のフォーマット】
- デメリット:正直に
- 理由:なぜそうなっているのか
- 会社としての工夫:改善の方向性や支援
この3点を押さえておけば、
「都合の悪いことを隠している」のではなく、
「事実を誠実に伝えている会社」として見られるようになります。
面接フローの整備と情報開示の仕組みづくりに不安がある企業へ
採用でミスマッチを減らすためには、求職者が知りたい“リアル”をきちんと伝えることが不可欠です。
とはいえ、
「本音で話すべきだとわかっていても、どう伝えたらいいのか分からない」
「そもそも、どんな人が自社に向いているのか言語化しきれていない」
という企業様も多くいらっしゃいます。
当社はまさに、その”言語化”と”構造化”の部分を得意としています。
現場社員・経営者へのインタビューを通じて、
✔ 本当に活躍する人材の特徴
✔ 逆にミスマッチが起きやすいポイント
✔ 自社ならではの魅力・強み
を洗い出し、「求職者が応募前に知るべき情報」を整理したうえで、採用戦略として形にしていきます。
さらに、求人原稿の作成から応募受付、書類選考、面接調整、一次面接の代行、そして入社後のフォロー面談まで、採用を一気通貫で支援します。
単なる広告掲載や応募の“待ち”ではなく、
「定着する人材を採用するための仕組みづくり」
を丸ごとサポートできるのが、当社の採用代行サービスの特徴です。
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